寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

あ、待って…

てゆーかわたしっ

「パジャマだっ!!!」

「は?」

「パジャマなのっ、見ないでよ!」

「別に見てねぇし」

暖の背中をぐっと押して部屋の隅っこまで、壁と向き合わせて絶対ここを動かないようにってもう一度強く背中を押した。

「着替えるまでこっち見ないでよ!」

「だから別に見てねぇよ」

あれからずっと寝てたくせに勝手に起きてこないでよ、びっくりするじゃん!

パジャマ姿男の子に見られたとか恥ずかしい…!!

起きたばっかで髪も顔もぐちゃぐちゃなのに~~~!

「あ、そうだ柑乃」

「ちょっとこっち見ないでって言ったでしょ!」

カイロだとしても見た目普通に男の子だもんっ

「ここほつれちゃって、直してくれ」

「あ、ほんとだ!ボロボロのポーチだしねそれ」

暖のお腹の辺りの毛糸がぽろっとほつれてた。

新しいのに変えようかな、もっと早く変えておくんだったこんなことなら。
せめてもっとちゃんとしたやつ…

「こんなんじゃ学校行けないだろ」

……え?
学校行けないだろ?って…


何!?


「なんで学校行くの!?」

どうして行く気なの!?行く必要なくない!?

それはさすがに人間の姿してるっていってもダメだよ!

「カイロなんだから当たり前だろ」

「……。」

あ、そっち?

そっか、カイロだもんね。
毎日肌身離さず持ち歩いてる充電式ホッカイロ… 


って、え…?

えぇぇぇーーーーーーーっ!?


「来なくていいよ!」

「俺がいないと困るのは柑乃だろ」