寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

もう関係ないと思って考えてなかった。

「彼氏とクリスマスデートするならどこ行きたい?」

「え!?」

質問内容ちょっと変わってるし!  

「わたしは…彼氏いないし、好きな人もいないから」

ぐるんぐるんに巻いたマフラーをちょっとだけくいっと下におろして、隠れちゃってた口を出して一応笑って見せた。

つぐみんみたいに彼氏はいないし、マーリーみたいに好きな人もいない。
だから私がクリスマスに期待することなんて…

「あ、駅前のクリスマスツリーは!?」

マーリーのその言葉にはドキッと心臓がびっくりした。

「今年めーっちゃ大きいツリーになったんだって!」

去年より15センチ大きくなったんだよね、てっぺんの星が大きくなった分ね。 

「飾りの色も増えたらしいよ!」

ゴールドとシルバーだったのにピンクが増えたんだよ、プレゼント型の飾りも増えたってテレビで言ってたよ。

「これは絶対クリスマスに行くべきじゃない!?」

「……そうだね?」

マーリーがあまりにピカピカした目でわたしを見るから、うんって頷くしかできなかった。ずーっとクリスマスツリーの話をうれしそうに話すから、にこって笑って答えるしか。