寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

なにっ、どうしたの!?

グッと押し返して倒れかかる暖の体を支える、力を失くした暖の腕はだらんっと下に落ちた。

さっきまでポカポカしてたのに熱まで奪われてる…っ

「暖、大丈夫!?どうし…っ」

「ぐぅーーーーーーー…」

「……。」

寝てるーーーーーーーー!!!?

スースー寝息立ててるんだけどっ 

このタイミングで寝る!?
なんかいい話してたよね、私その気になってたよ!?

それなのにいきなり倒れて来るから…っ

「冷たっ」

すごい体冷たくなってる、充電式カイロのくせに全然カイロじゃないじゃん… 

……。 


ん? 


充電式… 


あ、これあれだ!

充電だぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


今充電中なんだ…!


「…何それ、ほんとに充電式カイロじゃん」

暖の体を支えながらゆっくり床に寝かせた。

すやすや気持ちよさそうでこれが充電中の充電式カイロには見えないけど…

「寝顔もカッコいいし」

ちょっとドキドキしてた。
新しい世界に来たみたいで、新しい夢を見られるんじゃないかって。

「充電式カイロも寝てる時って夢見るのかな?」

着ふるしたセーターに身を包んだ金髪の美少年を見ながら微笑むくらいには、まだもう少しわたしでいたいって。

初めて飲んだホットチョコレートミルクは今までで1番おいしかったから。