寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

きゅぅって目をつぶった時だった。
怒鳴られるって体をキュッと縮こめたのにわたしの耳に入って来たのは思っていた声とは違う、か細い声だった。

「え…?」

「悪かった、俺がいたら大丈夫だと思ってたのに柑乃にこんな思いさせて」

力のない声がこんなにあったかい暖からするなんて。

なんで?

だからどうして?

「違うよ!暖は悪くないよっ、悪いのは…!」

わたしより暖の方がつらそうだよ…っ

「悪いのはわたし…、ごめんなさい」

声が小さくなっちゃう、わたしまで下を向いちゃう。

ぐるぐる巻きにしたマフラーを握って顔を隠した、隠れてばっかりだねわたし。


だけどね、それがわたしなの。


「…いっつもこうなの!」

顔を上げた、めいっぱい息を吸って笑って見せるように。明るく見せなくっちゃって。

「冬ってたくさんイベントがあるでしょ?クリスマスとかお正月だったら初詣とか!雪が降ったら遊んでみたいし、スキーもいいし…あ、スケートもやってみたいかも!」

なんて、思ってたなぁ。
あったかい部屋でそんなこと、どれだけ思って来たかわかんないね。

「でも、できないからしょうがないよね」

何度諦めて来たかも、わからないよ。

「それがわたしなんだもん、だから…っ」