寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

「今遊びに来てて!それで…っ」

キーンと刺さるような風が頬を刺激した、それにびっくりしちゃって一瞬声が出なくなるかと思った。

あれ、さっきまで全然平気だったのに。

全然寒くなくて、それどころかポカポカあったかかったのに…

「そうなんだ~!親戚のお兄ちゃんと仲いいんだね!」

「う、うん!」

とりあえずそーゆうことにしとこう、元はカイロなんて言ったとこでちんぷんかんぷんだし。マーリーもそれで納得してるし。

「そうだ、カンちゃんはもう飲んだの?」

「うん、飲んだよ!おいしかった!」

つぐみんもチョコミルクの話に戻ったしね。

「うちら今からなんだ、カンちゃんも一緒に写真撮ろうよ!」

「えっ」

マーリーに手を引かれた。

「初めてだよね!3人でって!」

つぐみんに背中を押された。
暖と違って全然あったかくならない、あったかくならないけど…

「てゆーかカンちゃん大丈夫なの!?寒いのにここにいて」

「確かに!手めっちゃ冷たいよ!?」

ぎゅってマーリーに握られた手は、あったかかったから。

「うん、今日は大丈夫!」

せっかくここまで来られたんだもん、それだけでもうれしかったんだもん。

「柑乃っ!」

「大丈夫だから、ちょっとくらい…ね?」

だからもうちょっとだけ、ちょっとしたら帰るから。

「…~っ」

わたしだってインスタに載せる写真ぐらいほしいもん、インスタやってないけど。