寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

暖がくいっと握った手を引いて顔を覗き込んだ。

「てっきりクリスマスツリー見に行くのかと思った」

「…っ」

見てたから…
マーリーとつぐみんがクリスマスツリーの前で笑ってる写真。

その顔、見られてた。だけど…

「あ、あれは…っ」

つい視線を下に向けそうになった時だった。

「カンちゃん?」

聞き慣れた声が呼んだ。

「あ、やっぱカンちゃんだ!」

「めずらしいね、こんなとこで会うとか」

ゆっくり顔を上げた先、手を振る2人の姿があった。

「マーリー、つぐみん…」

「えーっ、来てたの!?うちらも来たんだよ、チョコミルク飲もうってつぐみんと!」

「カンちゃんはもう飲んだ?今マシュマロが雪だるまになってるって…」

ふとつぐみんの視線が下がったのがわかった、私の手を見て…

「その人は誰…?もしかしてカンちゃんのっ」

思わず嘘をついた。

「し、親戚のお兄ちゃん!」

恥ずかしくて、見られたのが恥ずかしくて。

ハッとして咄嗟に手を離した、暖から。

「おいっ、柑乃っ!」