寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

すっかり寒くなった冬、話題はもうすぐやって来るあのことばかりー…

「カンちゃんはクリスマス何するの?」

白雪柑乃(しらゆきかんの)、中学2年生。
みんなにはカンちゃんって呼ばれてる。

「え、わたしは…」

下駄箱で上履きからスニーカーにはき替えようとして聞かれたから、つい手が止まっちゃった。

「やっぱデートじゃない?」

「それはつぐみんに彼氏がいるからだよ!うちらはいないもん!ねぇカンちゃん!」

「マーリーはいるでしょ、藤沢(ふじさわ)くん」

「まだ彼氏じゃないもん!」

茶色いゆるふわの髪を2つに束ねたクリッとした目がチャームポイントのマーリーと、黒のロングヘアーをポニーテールにしてピシッと決めたつぐみん。
ちなみわたしはとりあえず肩まで髪の毛を伸ばしてみた、肩まであると安心するから。

「……。」

もうわたしに用は終わったかなって、スニーカーに履き替えた。

「つぐみん、彼氏とどこ行くのー?」

「まだ決めてないけど、プレゼント交換はするかな」

「いいなー、あたしも藤沢くんと約束できないかな〜♡」

街ではジングルベルの音楽が流れ始める。赤と緑のコントラストにそそられ、気持ち的にはそれはそれは浮かれちゃうっていうか…

「で、カンちゃんは?」

「え…!?」