寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

ずっと行ってみたかったところがある。

インスタでいっぱい見て学校でも何度も耳にした。
話を聞くたびそそられて、写真を見るたび思いを馳せた。


そこへわたしもー…!


「おいしい…!」

「……。」

「ずーっと飲んでみたかったのここのホットチョコレートミルク!」

「…へぇ」

駅からちょっと離れたところ、チョコレートだけを販売するお店が新しくできた。学校ではすぐ話題になってこぞってみんな遊びに行った…

噂だけ聞いていた。

「見てかわいい、マシュマロが雪だるまだ!」

ホットチョコレートのお風呂に浮かぶ雪だるまが少しずつ溶けていく、ごくっと一口飲めばふわーって甘いチョコレートが口の中に広がってとにかくおいしいすごくおいしい。

「これが行きたかったところかよ」

「うん!」

うわー、こんなおいしかったんだ~!うれしい〜!

ふふって笑いたくなっちゃう頬を、冷たい風にあたっても平気な自分が信じられなくて。

「もっと他にあるだろ、これくらい家でも」

「飲めないよ」

溶けていくマシュマロを見ながら、ごくんっと一口飲んだ。

「これはここでしか飲めないもん」