寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

年末が近付くと寒さも増して、ふぅーって息を吐けば白く舞う。
最近はマスクも防寒として手放せなくなった。

「柑乃、もう寝るの?」

「うん、お風呂入ったからあったかいうちに寝るね」

「ケトルにお湯入ってるけど2階持ってく?」

「ありがとうママ」

ケトルを受け取って階段を上る、ひやっとする廊下もお風呂上りならまだポカポカして気にならないから。なんてゆーか気にならないことに気付いたから。

「佐湯くんお湯持って来たよ」

「わーい、柑乃ちゃんありがと~」

佐湯くんにケトルを渡してふとんに入る。

気付いたの、お風呂入ってすぐにふとんに入れば体が冷える前に眠れるって!これを思い付いた時はやるじゃん自分ってほめてあげた!

「…柑乃ちゃん」

「んー、なぁに?」

さっそく湯呑についだお湯をごくごく一気に飲み干して、お腹が満たされた佐湯くんがちょこんっとベッドの前に座った。

「ぼく、一緒に…」

あの日から佐湯くんとは一緒に寝てない。

「…うん、ごめんね」

なんて言ってごめんね。

でも暖がいるって思ったら、暖が見てるって思ったら…


どんな顔するかなって。

佐湯(あいつ)に温められるのも嫌なんだよ”


「柑乃ちゃんはぼくじゃダメなんだよね?」