寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

そのままクイッと指を戻された。
ただグーをしてるだけになっちゃった、せっかくキメてみたのに。

「もっと自由に生きてみたかった、から?」

くすっと笑って…

「なにそれ!?そんな理由で人間になれるとか意味わかんない!」

てゆーかなんで!?

金髪美少年とか聞いてないし!
あんなボロッボロだった充電式カイロがなんでどうして!!?

「そんなこと言われてもなれたんだから意味わかるも何もねぇよ」

「あるよっ!!!」

すごいある!めっちゃある!!

わたしの大事な充電式カイロがこれとか… 

わーっと頭を押さえながらチラッと見たら目が合った。今度はフンッて鼻を鳴らされた。


はぁーーーーーーっ 

こんなの困ることばっかりあるよーーーっ!!!


「それより早く温めないと大変なことになるぞ」

「わかってるよ!だから充電式カイロ探してるのっ」

「探さなくてもここにいるんだっつーの」

スーッと伸びた両手がふわっと優しく頬に触れた、ポカッと一瞬であったかくなって気持ちいい。

でもその分距離が近くなっちゃって、見つめ合った瞳にドキッて胸の奥から音が聞こえた気がした。

「…っ」

―ピコンッ 

勉強机の上に置いてあったスマホが鳴った。
これはたぶんLINEだ、その音にもなぜかドキッてしちゃった。

だからサッと視線を逸らすようにすぐに離れて勉強机の方へ向かった。

誰からだろ?何の用かな…

置きっぱなしだったスマホを開いた。

「あ…」