寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

「マーリー、カンちゃーん!早く行かないと遅れるよ!」

つぐみんがドアの前で待ってた。だからうんっと頷いてつぐみんの隣に並ぶ、まだ動こうとしないマーリーに手招きして。

「行こ!遅れちゃうよ!」

本当は、マーリーが何か言いかけたこと気付いていた。


でも気付かないフリをした。

聞こえないフリをした。


だって言えなくて、どうやって言ったらいいかわからないんだもん… 


暖のこと。

大丈夫、って返せないよ。


だって大丈夫じゃないから、嘘でも笑えないから。


ポケットに入った充電式カイロをぎゅっと握りしめる。

ちっともあったかくなくて持ってる意味なんかないのに、どうしても離れたくなかった。


暖と一緒にいたかった。


「家庭科室って遠すぎ」

階段を下まで下りたところでつぐみんがウンザリした顔で息を吐いた。

「わかる~家庭科室だけ別!って感じ」

マーリーがとんっと階段を飛び降りて、わたしも最後の階段を降り切った。

「学校って広いんだなーって思うよねぇ」

2人にそうだねって共感しながら、まだもう続く少し廊下を歩いて。

下駄箱を抜けて資料室を抜けて職員室を超えて…
一番奥にあるのが家庭科室だから。


だけどその前にー…