寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

あれから何日経っても暖は現れなかった。

突然現れて、突然消えていくんだね。


1人で向かう学校にも1人で帰る帰り道も、慣れないままだよ。

あたりまえだったのに、これが普通だったのに…



もう暖はいない。



充電しても赤く光らない充電ランプが本当に終わりを告げてるみたいだった。


クリスマスはもう明日だよ。


「カンちゃん、次の家庭科移動教室だよ行こ~!」

「あ、うん…っ」

気付いたら2限目が終わってた。

マーリーが誘いに来てくれて思い出した、そーいえば今日の家庭科は家庭科室に行かなきゃなんだっけ?

「待って、教科書出すから」

出しっぱなしだった数学の教科書を机の中にしまって家庭科の教科書を取り出した。
教科書の上に筆箱を置いてイスを引いて立ち上がる…

ごそっと制服のスカートのポケットから音がして。

「…っ」

なんの温度も感じない、ただ重さを感じるだけの。
ポケットに収まってしまうことが今は…

「カンちゃん?どうしたの??」

「あっ、なんでもないよっ!行こっか!」

教科書を抱えてイスを直した。

家庭科室ってちょっと遠いんだよね、1階まで下りなきゃいけないしそっからずーっと奥まで行かなきゃいけないし。

「カンちゃん?なにかっ」