寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

うわーんっと佐湯くんまで泣き出した、わーっと声を上げて子供みたいに。

「暖はっ柑乃ちゃんの夢を…っ、叶えてあげたいって」

わたしの夢…?

佐湯くんが両手で流れて来る涙を拭きながら、つたない声で教えてくれた。

「ずっと思ってて、柑乃ちゃんがいつも…さみしそうな顔して見てるからってっ、それで…っ」

暖は知ってたんだ、わたしがどんな顔であのクリスマスツリーのことを見てたのか。

テレビから流れるニュースでしか見たことないクリスマスツリーを。

言わなくても、知ってたんだね。

「だからねっ、ぼくも…!」

佐湯くんが顔を上げた、涙でぐしゃぐしゃになりながらめいっぱい瞳を大きく開いて。

「叶えてあげたかった…、柑乃ちゃんの夢も暖の夢も」

ぎゅっとわたしの制服のスカートを握る、力を入れすぎて震えちゃってた。

「…ずっとずっと大切にしてくれたから、ぼくも柑乃ちゃんのことだいすきだからっ」

佐湯くんの手は小さくてかわいい、暖の手とは全然違う。

「柑乃ちゃんの夢を叶えてあげたかった…っ」

だけどやさしくてあったかいよね。

「だからぼくたちは現れた」