寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

充電式カイロを使い始めたのは11月の真ん中ぐらい、じゃあそれに気づかず私は1ヶ月以上も…っ

「でも柑乃ちゃんをあっためることはできたし、まだいいかな~って思ってたんだけど…そろそろあぶないかなーって」

佐湯くんはわかってた、暖のこと気付いて… 


わたしは何もわからなかった。 

ずっと一緒にいたのに全然気付かなかった…


「今日は暖について行くことにしたんだ」

「え…?」

振り返ると佐湯くんがこっちを見ていた。

「もう限界かなーって思ってね~」

「佐湯くん…っ、そんなことまでわかってたの?」

にこっと佐湯くんが笑う、だけど無理に笑ってるみたいで寂しさが残った。

湯呑を置いて、わたしの隣にちょこんっと三角座りをして座る。

「ぼくたちには…ぼくたちにも寿命はあるから」

ピタッとわたしにくっ付いて、きゅっと丸まった体を自分で抱きしめるみたいに。

「柑乃ちゃんがいつも大切に使ってくれるから、ぼくたちはずっと元気でいられる」

ポカポカと温度を感じる、佐湯くんがあったかいから。

佐湯くんがあってめてくれるから。

「だけどね、…それでも終わりは来るよね」