寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

「寿命ってどうゆうこと…?」

「えっと~、みんなあるでしょ?命に限りってやつ!」

それは、あるけど… 

生きる時間は決まってて、永遠じゃないのはそうだけど。

「ぼくらにも寿命はあるから」

佐湯くんたちにも寿命はある…?

寿命が… 

言われてハッとした。
あたりまえだったから忘れてた。

ううん、暖が現れたからそんなこと考えもしなかった。


毎日使ってた充電式カイロでも使えなくなる日は来るってこと。


じゃあ暖は… 


佐湯くんが暖の体を起こした、暖の腕を回すように肩に乗せてグッと立ち上がった。

「佐湯くん大丈夫っ!?」

「うん、これくらい平気~!」

だらんと力の抜けた暖の体を支えるように持ち上げて歩き出そうとする。
バクバクする心臓にまだわたしは気持ちが追い付かないのに…

「…佐湯くんは知ってたの?暖の寿命のこと」

足が踏み出せなかった。

震える手をぎゅて握って、白い息がふわっと舞って、それなのに寒さが今はわからない。

「…柑乃ちゃんともずっと一緒にいるけど、暖とも一緒にいたからね」