寒がりなわたしの彼はすぐにわたしを抱きしめたがるから

ポタッと血が床に落ちる前に緋太さんがティッシュで受け止めてくれた。

あ、つい大きな声出しちゃって血がこぼれ落ちるとこだった。

「手当てしましょう、痛くないですか?」

「あ、はい…見た目よりは全然っ」

指が血だらけになってるけど傷はそんなに大きくない、もう血も止まりかけてるとは思う。

「じゃあこちらへっ」

「!」

グイッと強く肩を引き寄せられた。

緋太さんがわたしの手に触れようとした瞬間、暖に体ごと引っ張られた。

「俺がやるからいい」

触れた肩からポカッと温度がめぐる、だけどトンッと暖の体に触れたからドキッと胸の音が聞こえて。

鼓動が早くなる、急にドキドキして…


てゆーか後ろから手を回して抱きしめられてない!?

窓の外から見られてないかな!?

あ、カーテンしまってるよかった!


「ここは学校の保健室、僕のテリトリーですから部外者は何も触らないでください」

いつもより少しだけ低い声は冷たく感じて。

「これは俺のだからお前は触るんじゃねぇよ」

眉を吊り上げて睨む暖は…

って何言ってるの!?

俺のだからって…っ

「あなたに…手当の仕方が分かりますか?」

「……。」

血の流れるわたしの手を掴んで、じぃっと見つめる。

瞬きもしないであまりにじーって見てるから指がっ、指が震えちゃう…っ