また未來先輩に抱き寄せられて、ドキドキしながら顔を見ると、未來先輩はユリのように笑って、わたしのほおをなでた。
「ねぇ、望羽ちゃん、僕と付き合おうよ。僕は望羽ちゃんの笑顔を見たときから、望羽ちゃんに心をうばわれたんだ」
「わ、わたしの笑顔…!?」
「そうだよ。世界で一番かわいくて、ドキドキする」
柔らかく目を細めてわたしを見つめる視線に耐えられなくなったとき、お腹に腕が回されて、少しだけうしろに倒れた背中が誰かにぶつかる。
「俺はとことん尽くすッスよ。なんでもしてあげるッス、望羽ちゃん。…きみだけの俺になる。ね」
「い、犬丸っ、先輩…!」
耳元で声が聞こえて目を向けると、犬丸先輩は大人っぽくほほえんでわたしのほおにキスをした。
ひゃぁぁぁ、と悲鳴をあげそうになったとき、今度は葛谷さんにつかまれていた手が、ギュッと指をからめてにぎられる。



