【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



「離せ、藤一(ふじいち)


「はいッス。…あ」


「わ、く、葛谷さん…?」




 するっと犬丸先輩の手が離れていったかと思えば、今度は葛谷さんに手をひかれた。

 そのまま、わたしの手は葛谷さんの顔の高さまで持ち上げられ…。

 ふに、と手首に葛谷さんの唇が押し当てられる。




「へ…?」


「望羽。好きだ。付き合うなら、俺にしろ。誰よりもかわいがってやる」


「っ…!?」




 流し目で見つめられたかと思えば、ふ、とほほえまれて、バクバクバクッと心臓が破裂しそうになった。

 吐息(といき)が手首にあたるせいで、頭がくらくらしてくる。


 葛谷さんまで…っ、どうしてわたしに!?




「どうせ今()れたくせにずうずうしいですよ!」


「ひゃっ、み、未來先輩っ…」