【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



 未來先輩と犬丸先輩は赤みが引いてるけど、葛谷さんはひときわ強くたたかれたのか、まだ少しほおが赤かった。

 心配して葛谷さんのほおに手を伸ばすと、葛谷さんはじっとわたしを見つめて、手を重ねてくる。

 あ、触られるの嫌だったかな、と思ったのもつかの間。




「望羽。お前が欲しい」


「えっ?」




 わたしが欲しい?って、なに??




「あ、ずるい!クズ先輩ってほんとクズですね、望羽ちゃんは僕がねらってたんですよ!?」


「え?」




 “男の人の声”を出した未來先輩は、葛谷さんの手をはたき落としてわたしを抱き寄せると、長い髪を耳にかけてほほえんだ。




「望羽ちゃん、好きだよ。僕、きみの前ではずっと、花に恋焦(こいこ)がれる男でいたいな」


「へっ…!?」