未來先輩と犬丸先輩は赤みが引いてるけど、葛谷さんはひときわ強くたたかれたのか、まだ少しほおが赤かった。
心配して葛谷さんのほおに手を伸ばすと、葛谷さんはじっとわたしを見つめて、手を重ねてくる。
あ、触られるの嫌だったかな、と思ったのもつかの間。
「望羽。お前が欲しい」
「えっ?」
わたしが欲しい?って、なに??
「あ、ずるい!クズ先輩ってほんとクズですね、望羽ちゃんは僕がねらってたんですよ!?」
「え?」
“男の人の声”を出した未來先輩は、葛谷さんの手をはたき落としてわたしを抱き寄せると、長い髪を耳にかけてほほえんだ。
「望羽ちゃん、好きだよ。僕、きみの前ではずっと、花に恋焦がれる男でいたいな」
「へっ…!?」



