「俺も、望羽ちゃんを傷つけてごめんなさいッス!」
「い、犬丸先輩っ?」
「…すまなかった」
「…」
葛谷さんまで…。
みんながそろって、深々と頭を下げているのを見て、わたしはぽかんとしてしまった。
謝って、くれるなんて…。
悪びれることもなく、笑ってたのに。
「…みなさん、顔を上げてください」
そう言ってから少しして、先輩たちは顔を上げてくれた。
もう一度、みんなの顔をじっと見回すと、犬丸先輩がしゅんとした顔で口を開く。
「イタズラなんかじゃ済まされないことだって、ようやく気づいたッス。人を傷つけることは、“友だち同士のじゃれ合い”なんかじゃないって…」
犬丸先輩は、「本当は俺も、そう言いたかったッスのに」と、うつむいて暗い顔をした。
「…過ぎたことだ、しょうがないだろ」
「…」



