【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



「俺も、望羽ちゃんを傷つけてごめんなさいッス!」


「い、犬丸先輩っ?」


「…すまなかった」


「…」




 葛谷さんまで…。

 みんながそろって、深々と頭を下げているのを見て、わたしはぽかんとしてしまった。

 謝って、くれるなんて…。


 悪びれることもなく、笑ってたのに。




「…みなさん、顔を上げてください」




 そう言ってから少しして、先輩たちは顔を上げてくれた。

 もう一度、みんなの顔をじっと見回すと、犬丸先輩がしゅんとした顔で口を開く。




「イタズラなんかじゃ済まされないことだって、ようやく気づいたッス。人を傷つけることは、“友だち同士のじゃれ合い”なんかじゃないって…」




犬丸先輩は、「本当は俺も、そう言いたかったッスのに」と、うつむいて暗い顔をした。




「…過ぎたことだ、しょうがないだろ」


「…」