葛谷さんに背中を向けるように離れた未來先輩のうしろで、葛谷さんが抱きつかれていた腕をパッパッと払う。
2人とも、わざとあんなことを言ったの…?
栗本さんたちを仲直りさせるために?
“依頼”のために別れさせたのに、どうして…。
じぃっと先輩たちを見つめると、わたしに気づいた未來先輩は気まずそうに目をそらして、振り返った葛谷さんは目を伏せた。
「ひとまず、場所を移すか。ここじゃギャラリーが多すぎる」
「そッスね。…望羽ちゃん、ついてきてくれるッスか?」
眉を下げて笑った犬丸先輩に言われて、わたしは「…はい」と答える。
3人の先輩のあとに続いて階段へ向かい、4階へ上がると、別のクラスの女の子に声をかけられた。
「天衣さん?…どうしたの?」
「え?あ、えっと、この先輩たちと少しお話があって。なにか用でもあった?」



