【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



(すみれ)に触るな!俺たちをバカにするのも大概(たいがい)にしろっ、もう二度と顔を見せるんじゃねぇ!」




 栗本(くりもと)さんの怒った声が聞こえてきて、あわわ、と犬丸先輩の背中から顔を出すと、栗本さんが弓崎(ゆみさき)さんの手を引いて去っていくところが見えた。

 弓崎さんと話してたのはこんなことじゃないのに、これじゃあまた誤解されちゃう…っ。

 あわてて2人を追いかけようとすると、犬丸先輩に止められて、「しー」と口の前に人差し指を立てられる。




「このままそっとしておけば、あとは自然にくっつくッス」


「え…?」





 腰をかがめた犬丸先輩にひそひそとささやかれて、目を丸くした。




「…もういいだろ。離れろ」


「私だってクズ先輩にひっつきたくなんかないですー。望羽(みはね)ちゃんのためじゃなきゃ、ここまで体張りませんから」


「葛谷さん、未來先輩…」