「菫に触るな!俺たちをバカにするのも大概にしろっ、もう二度と顔を見せるんじゃねぇ!」
栗本さんの怒った声が聞こえてきて、あわわ、と犬丸先輩の背中から顔を出すと、栗本さんが弓崎さんの手を引いて去っていくところが見えた。
弓崎さんと話してたのはこんなことじゃないのに、これじゃあまた誤解されちゃう…っ。
あわてて2人を追いかけようとすると、犬丸先輩に止められて、「しー」と口の前に人差し指を立てられる。
「このままそっとしておけば、あとは自然にくっつくッス」
「え…?」
腰をかがめた犬丸先輩にひそひそとささやかれて、目を丸くした。
「…もういいだろ。離れろ」
「私だってクズ先輩にひっつきたくなんかないですー。望羽ちゃんのためじゃなきゃ、ここまで体張りませんから」
「葛谷さん、未來先輩…」



