「俺みたいな顔だけのクズより、お前の趣味を受け入れてくれる栗本のほうが、お前にとってはいい男なんじゃないか」
「うるさいっ、勝手に別れさせて、勝手にくっつけようとして、あたしは、あんたたちのおもちゃじゃないから!」
「お、おもちゃだなんて…っ!」
そんなつもりじゃ、と誤解をとこうとしたとき、「なに、してるんだ?」と栗本さんの声が聞こえてくる。
廊下の奥を見ると、栗本さんが険しい顔をしてこっちに近づいてきた。
「あんたら…また菫に、なにかしようとしてるんじゃないだろうな!?」
「卓也…」
「ち、違うんです、栗本さん!葛谷さんたちは…っ」
「望羽」
あわてて説明しようとすれば、葛谷さんに名前を呼ばれて、まるで“静かに”と言うように、じっと見つめられる。
わたしは思わず口を閉じてしまった。



