【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



「俺みたいな顔だけのクズより、お前の趣味を受け入れてくれる栗本のほうが、お前にとってはいい男なんじゃないか」


「うるさいっ、勝手に別れさせて、勝手にくっつけようとして、あたしは、あんたたちのおもちゃじゃないから!」


「お、おもちゃだなんて…っ!」




 そんなつもりじゃ、と誤解をとこうとしたとき、「なに、してるんだ?」と栗本さんの声が聞こえてくる。

 廊下の奥を見ると、栗本さんが険しい顔をしてこっちに近づいてきた。




「あんたら…また菫に、なにかしようとしてるんじゃないだろうな!?」


「卓也…」


「ち、違うんです、栗本さん!葛谷さんたちは…っ」


「望羽」




 あわてて説明しようとすれば、葛谷さんに名前を呼ばれて、まるで“静かに”と言うように、じっと見つめられる。

 わたしは思わず口を閉じてしまった。