【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



 深くため息をついてから、ううん、あきらめちゃダメ!と自分に言い聞かせて顔を上げた。

 弓崎さんを追いかけて2年B組の教室に向かおうとすると、うしろから「なにしてるんだ?」と聞き覚えのある声がする。




「え…」




 この声、もしかして。

 おそるおそる振り返ると、階段のほうから葛谷(くずや)さんと未來(みらい)先輩、犬丸(いぬまる)先輩が歩いてきていた。




望羽(みはね)ちゃん…」


「…もう一度、やり直してもらおうとしてるんです。栗本さんと弓崎さんは、別れる必要のなかった2人だから」




 目をそらして答えてから、「失礼します」と頭を下げて、わたしは体の向きを戻す。




「待て」


「…なんですか?」




 ゆっくり振り返ると、葛谷さんたちはわたしの横を通り過ぎて、2年B組の教室に向かっていった。

 わたしは目を丸くして、あわてて3人のあとを追う。