【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。

「…うん」


「でも、そんなこと、興味がないから。雨蓮たちに聞かれたことは、なんでも教えてきた」


「それは…悪いこと、だよ」




 お兄ちゃんはちらりとわたしを見ると、「うん」とほほえんだ。

 お兄ちゃんは、誰にでもやさしい、いい人だと思ってた。

 …でも、それは演技だったんだ。


 本当は、冷たいところも、悪いところもあって…。




「望羽、覚えてる?保育園でも、小学校でも。みんな、片付けとか掃除は望羽に頼んで、別の場所で遊んでたんだよ」


「え…うん。みんな、遊びたかったんだよね」




 きょとんとしてうなずくと、お兄ちゃんは悲しそうな顔をしてほほえむ。




「望羽はそうやって、自分のことをあと回しにして、頼まれたことはなんでも引き受けちゃって…それがつらいとも思わない子だから」


「…?」