【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。

 教室につくと、わたしに気づいた女の子たちは「おはよう」とあいさつして近づいてきた。




「ねぇ、天衣さん、今日の天衣先輩の時間割教えてくれない?」


「今日はお昼、私も一緒に食べていいかな?」


「お願い、天衣さん!茅都先輩を紹介して!3年と1年じゃ全然接点ないし、昼休みも茅都先輩すぐ出て行っちゃうし!」


「わ、う、うん、お兄ちゃんに聞いてみるね…?」




 いつものことだけど、ついつい勢いにびっくりしちゃう。

 お兄ちゃんは学校中の人気者だから、教室でも廊下(ろうか)でも、わたし、よくお兄ちゃんのことを聞かれるんだよね…。

 みんな、お兄ちゃんと仲良くなりたいみたい。


 わたしもみんなの力になりたいからできることはしてるんだけど、人が多いから毎日同じようなことをしている気がする。

 一番すごいのは、それだけ大勢の人を()きつけて、友だちになれるお兄ちゃんだけどね!


 わたしは今日も、みんなと()えず話したあとに、ホームルームギリギリで席についてリュックを下ろした。