【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。

「他の仕事ね…望羽、こっちに来い」


「は、はい…」



 葛谷さんに呼ばれて目の前に移動すると、葛谷さんはわたしのあごをつまんで、右に左に顔を動かした。




「あ、あの…?」


「最初に見たときも思ったが…なかなかかわいい顔になったな」




 ()めるように目を細めてほほえむ葛谷さんの顔を近くで見たせいか、かぁっとほおが熱くなる。




「あ、ありがとうございます…未來先輩のおかげで…」


「ちょっと、望羽ちゃんは私のお気に入りなんですから、その顔でたぶらかさないでください」


「ふつうにしてるだけだ。…まぁ、これならハニートラップにも使えるし、他の仕事をさせるのはかまわない。が」




 葛谷さんの手が離れて、一歩うしろに下がった。

 なんだか、葛谷さんの近くにいるのはあんまりよくない気がする。

 今のわたしの顔、きっと弓崎さんみたいになってるもの。