男の人が拳を振り上げたのを見て、頭を守るように両腕を顔の前へ動かした。
ギュッと目をつぶって顔を背けると、胸の上に腕が回されて、うしろへ抱き寄せられる。
そして、頭のすぐ上から、葛谷さんの声が降ってきた。
「こいつはうちの新人だ。丁重にあつかってもらおうか」
「へ…?」
「そうですよ、中武先輩」
未來先輩の声も聞こえて、おそるおそる顔の前の腕を動かすと、振り下ろされた男の人の腕が、誰かに止められていた。
顔を動かせば、犬丸先輩がわたしのとなりで、笑みを浮かべながら男の人の腕をつかんでいる。
男の人のうしろに、未來先輩が近づいてきたのも見えた。
「なんだ、お前らの仲間か。ったく、もう少しで台無しにされるところだったんだぞ、新人のしつけはしっかりやっとけ」



