【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



「…(すみれ)は、イケメンが好きだから。よくしてくれるイケメンがいたら、心変わりするのは分かってた。…分かってて、俺は見てることしか」




 できなかった、とつぶやく声を聞いて、わたしは栗本さんの気持ちを確認した。




「栗本さんは、まだ弓崎さんが好きなんですよね?」


「…そんなこと、どうでもいいだろ」


「どうでもよくないです。栗本さんの大切な気持ちじゃないですか。恋人って、2人の気持ちがあって成り立つ関係ですよね」


「…だったら、俺たちはもう終わりだな。俺しか未練が残ってないんだから」




 自嘲(じちょう)するように笑う栗本さんの顔をのぞきこんで、わたしはうなずく。

 栗本さんは弓崎さんのことがまだ好きなんだ。別れたくないんだ。

 恋をしたこともないわたしだから、間違ってるかもしれない。