2人に送り出されて、栗本さんがいるという教室に近づくと、わたしは扉の前から誰にともなく聞いた。
「あの、すみません。栗本卓也さん、いますか?」
「え?」
振り向いて声を出したのは、窓際の席に座っていた男の人。
ぺこっと会釈すると、栗本さんは戸惑うように席を立って、こっちに来てくれた。
「お食事中にすみません。わたし、1年の天衣望羽って言います」
「はあ、天衣…?」
「あ、天衣茅都の妹です」
視線をななめ上に向けたのを見て補足すると、栗本さんは「あぁ」とうなずいて、少し目を丸くしながらわたしを見る。
「えっと、それで、なんの用?」
「えぇと、ですね…栗本さんってお付き合いしてる人がいるんですよね…?」
「え…うん、まぁ」



