【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



 鏡を背にして立っていたから、ブラシを当てられているときも、まるでどんなふうに変化しているのか、わたしにはさっぱり分からなかった。

 だから、未來(みらい)先輩がなんだかごきげんだなぁ、と思うことしかできなくて。




「ふふっ。想像以上に()けたわね。ほら、望羽(みはね)ちゃんも見てみて。今の望羽ちゃんは学校一の美少女よ」


「えっ…?」




 メイク道具をポーチにしまった未來先輩の手によって、うしろを向かされたわたしは、鏡に映った顔にびっくりした。

 少し高いところにある未來先輩のお顔が美しいのはもちろん、もう1人の人物も、美人集団のなかに放り出されたって目立たない顔をしている。

 いつもより目が大きいしパッチリしているし、顔に凹凸(おうとつ)があって、心なしか小顔に見えるし。


 もしかしてわたし、今、かわいいのでは…??