【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。

「他の人が来ないように見張ってるから、大丈夫ッス!」


「うーん…分かりました…」




 いいのかなぁ、と思いつつ、まったく男の人には見えない未来先輩を見つめて、わたしはうなずいた。

 そうして女子トイレに入ると、未來先輩はポーチを手洗い場に置いて、わたしの髪をクリップで留める。




「め、メイクって、もしかしてわたしに…?」


「そうよ。とびきりかわいくしてあげるから、楽しみにしててね」




 ほおに人差し指を添えて、ウインクする未來先輩を前に、わたしはただ緊張(きんちょう)しながら立つことしかできなかった。

 メイクするなんて、わたし生まれて初めてだよ…!