【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



 目を丸くして、開いた扉の前に立っている、体の大きな犬丸先輩を見る。

 きっと、約束の“仕事”だ!

 わたしはあわてて席を立ち、犬丸先輩のほうに向かってから、あ、と思い出して席へ戻った。


 リュックに入れているスマホを取り出し、お兄ちゃんに[ごめんね、用事ができたから教室で待ってて]と連絡を入れておく。

 スマホをリュックに戻すと、わたしは今度こそ犬丸先輩のもとへかけ寄った。




「お待たせしました。お久しぶりです、約束の件ですね?」


「そッス!」




 犬丸先輩は、にぱっと笑って、わたしを遠いほうの階段へ連れていく。

 2年生の教室がある3階へ下りると、階段の前でポーチを持った未來先輩が待っていた。




「お久しぶり、望羽ちゃん」


「未來先輩!お久しぶりです」