未来先輩が、男の人?
そんなの、全然気づかなかった…。
わたしは、もう未來先輩の姿が見えなくなった階段のほうを見る。
「…でも、お兄ちゃん、未來先輩、心は女の人とかなんじゃ…?」
「ううん、早乙女さんは心も男子だよ。女の子のフリをするのが好きなんだって」
「そ、そうなんだ…教えてくれてありがとう、お兄ちゃん」
わたし、未來先輩が女の人だって信じてうたがってなかった。
なにか失礼をする前に、男の人だって教えてもらえてよかったな。
「うん。さ、一緒にお昼を食べよう?」
「あ、うん。そうだ、お兄ちゃん、一緒にお昼ご飯食べたいって子がいて…」
「そうなんだ。じゃあ今日は望羽のクラスで食べようか?」
「うん!」
わたしはうなずいて、お兄ちゃんと教室に戻った。



