「さて、これを全校生徒に見られたくなかったら、俺たちの仕事を手伝ってもらおうか」
「え…仕事?」
急になにを、と目を丸くしてから思い出す。
そういえばお兄ちゃんにも、“仕事がやりやすい”、とかなんとか言ってたっけ。
となりの段ボール箱に座っている葛谷さんは、わたしを見下ろしてほほえんだ。
「なんでも屋だ。生徒に依頼されれば、なんでもやる」
「はあ…」
なんでも屋…。
視線が葛谷さんの顔にぬい留められるのに抵抗して、ちらりと他の2人の先輩を見ると、にこにこと笑顔を返される。
手伝って、と言われたら手伝うけど、でも。
「わたしも、びっくりはしましたけど、どんなお兄ちゃんもお兄ちゃんだし、誰に見られたっていいんじゃないですか?」



