【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



 藤井さんの怒った声がして視線を戻すと、藤井さんは床に落ちた写真をかき集めて、わたしに向かって投げてくる。

 目を見開いた直後、うしろに抱き寄せられて、先輩たちがまだ動こうとした藤井さんを押さえこんだ。




「望羽に責任転嫁(せきにんてんか)するのは、この状況で一番の悪手だな。よくもまあ、最悪な行動ばかりできるものだ」


「ねぇ、こいつ警察行きでいいんじゃないですか。生温(なまぬる)いことはナシにしましょうよ」


「そッスねぇ。望羽ちゃんに危害を加えようとするのはアウトッス」


「お前ら、やるなら徹底的(てっていてき)にやれ」




 みんなの冷たい声をぽかんと聞いて、苦しそうにしている藤井さんをながめる。

 ぱちり、ぱちりとまばたきをしたあとに、わたしはようやく声を出すことができた。