そう言った葛谷さんは、“魅惑”って言葉が似合うような笑みを浮かべて、わたしの唇を指でなぞる。
頭のなかが真っ白になって、パチンッとなにかがはじけたような感覚がした。
そのあと、胸いっぱいに広がって、わたしを支配したのは…。
わたしを見つめる葛谷さんの瞳と、弧を描く唇、どこか甘いひびきを持った声に、わたしに触れる指の温度。
「くずや、さん…」
「雨蓮。…覚えたか?」
葛谷さん…ううん、雨蓮さんは妖しくほほえんでわたしを見つめた。
ドッドッドッと速く、大きな鼓動が聞こえるなか、わたしは小さくうなずく。
「ふ…好きだ、望羽。近いうちに、俺の彼女になってもらう」
耳元で甘くささやいて、雨蓮さんはほおをなでおろすように手を離した。
ドキッと跳ねた心臓に、よろこびがにじんでいた気がして、まさか、と気づく。



