「く、葛谷さん…?」
「まったく…1回だまらせたって言うのに、今度は望羽にからむとは。これだから休むひまがないんだ」
葛谷さんはため息をつくと、どうやら気を失ったらしい中武さんを廊下に寝かせて、ブレザーのポケットから出したペンのふたを取る。
ペンなんてなにに使うんだろう、と思って見ていたら、葛谷さんは中武さんの横にしゃがみこんで、顔にペン先をつけた。
「えっ、ちょ、ちょっと…!」
“葛谷に負けました(2回目)”って…人さまの顔になにを書いてるの!?
ペンをしまった葛谷さんは、立ち上がってわたしの手をつかむと、階段のほうへ歩いていく。
「く、葛谷さんっ」
「あいつは放っておけ。もう望羽にからみに行くこともないだろう」
「は、はあ…じゃなくてっ、いいんですか、あれ!?」



