【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。

「そうかな?気にしないで、1人じゃ大変だから」


「ありがとう。みんな、天衣先輩のことばっかり話してるけど…私は天衣さんだってすごくやさしいと思うな」




 職員室まで歩きながら、日直の女の子に褒め殺しにされて、照れてしまう。

 わたしは、わたしにできることでみんなのお手伝いができれば、って思ってるだけだから…。

 こんなふうに言われると、すごくいいことをしてるように錯覚しちゃうな。


 実際には、ただノートを一緒に運んでるだけなのに。


 女の子と話しながら職員室にノートを届けたあと、わたしはトイレに行くからと、1階で日直の女の子と別れた。

 用を済ませてトイレを出ると、下駄箱(げたばこ)のほうから見覚えのある男の人が歩いてくるのが見える。




「あ…」


「あん?なに見てんだ」


「あ、すみません。中武(なかたけ)さんだ、と思って」