甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

今回は着信ではなくメッセージだったこともあり、緊急性が高い内容ではなかったようだった。

それでも、時哉さんはもう私から数歩の距離まで離れてしまっている。

私の頭の中では、先ほどの時哉さんの言葉が頭を巡り続けていた。




「奏葉、大好き。奏葉以外いない」




私が落ち着いて、告白の返事をしぼり出そうとした時、時哉さんが自虐的に笑った。

「ごめん」

急に時哉さんに謝られて意味が分からなくなる。



「俺、この職業好きなんだよね。誇りを持って働いてる。でも、奏葉と過ごしている時でさえ、緊急の連絡はくる。だからかな。同期くんと奏葉が同じ距離感で気軽に話しているのが本当に羨ましかったんだ」

「ねぇ、奏葉。もう許可出さなくていいよ。急かしてごめん。ゆっくり考えて欲しい」

「奏葉が初めて会った時に読んでいた漫画のヒーローより俺は全然格好良くないから」



時哉さんが悲しそうに笑った。