甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

口では何も言わないが、雰囲気で怒っているのが分かるくらい分かりやすかった。

というか、何処か()ねているような……




「奏葉って警戒心無いよね」




時哉さんの第一声はそれだった。

「あの後、どうなったか知らないけど、あの同期くんには絶対……」

「ちょ……ちょっと待って下さい!」

急に話し出した時哉さんの言葉の意味が分からない。

確かにあの時、説明が途中で終わってしまったことは謝ろうと思っていたが、どう考えても時哉さんが怒っているのがそこではないことは分かった。

私が慌てているのに、時哉さんはいつものように余裕がある様子で笑ってくれない。

むしろ時哉さんの方が焦っているようだった。