甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

すぐに反応出来なくても、私は言わなくてはいけない。

当たり前だが、私はもう子供じゃなくて、ちゃんと返事が出来ないほど弱々しくもない。

私は田代くんと視線を合わせた。


「田代くん。さっき言った通り、私、時哉さんと付きあいたいと思ってる」


「知ってるよ。ていうか、それ以上言わなくていい。ていうか、黙って」


「黙ってって何!?」

「そのままの意味。俺も言ったよね? もう戻れないくらい好きって」

どれだけ田代くんは勇気を出してくれているのだろう。

それでも、だからこそ私はハッキリ断らなくてはいけない。


「うん、聞いた。でも、私は次会った時に時哉さんに気持ちを伝える。だから……」


喉がキュッと締まる感覚がしたけれど、私にその資格はない。

言い切らなくてはいけない。




「だから、諦めて下さい」




そう言い放ったのに、田代くんはしばらく何も言い返さなかった。

そして、どれくらい時間が経ったか分からないくらいで、田代くんは話し始めた。