甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

「末永に明日の仕事のことで話があるので、返して貰っても良いですか？」

時哉さんが眉間に皺を寄せる。

しかし、私は仕事の話があると言われて、気になってしまった。

「時哉さん、すみません。またすぐに連絡するので、今は田代くんから仕事の話を聞かないと……」

「いや、奏葉。絶対、こいつの嘘に決まって……」

「……？？」

私が意味が分からないでいると、何故か田代くんがクスッと笑った。


「末永にそういうのは伝わらないかと」


田代くんの言葉に時哉さんが「それは嘘だって白状しているようなものじゃない？」と返した。

「貴方にどう思われたっていいですね。……正直、時間もなさそうなので、遠慮しているのはもうやめました。末永、行こう」

田代くんが私の腕を掴んで歩き出す。

時哉さんの様子が気になるけど、元は今日約束していたのは田代くんで。

どうしよう、どうしようと考えている内に時哉さんとの距離が離れていってしまう。