甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

「なんで時哉さんの家なんですか……？」

すると、時哉さんがニコッと笑った。


「奏葉に見せたいものがあるんだ。とっても奏葉向きの奏葉が喜ぶもの」


その時、私は新幹線の乗客がもうほとんどいなくなっていることに気づいた。

私の視線で時哉さんも気づいたようだった。

「とりあえず、降りようか」

時哉さんにそう言われ、私は急いで荷物を片付け、新幹線から降りる。

駅のホームに立つと、新幹線の中より涼しい風が吹いていて、火照(ほて)った頬に風が当たって気持ち良い。

新幹線を降りた時の涼しい風が吹いて、少しだけ呼吸がしやすくなる感覚が好きだった。

それでも……いつもの新幹線と違うのは、一人じゃなくて、隣に時哉さんがいること。