甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

それでも、ここで折れるわけにはいかない。

私はバッグから漫画を取り出した。

「私もしばらく漫画を読みますから、時哉さんも寝て下さい! 一時間後にちゃんと起こすので」

「奏葉が隣にいるのに?」

時哉さんが駄々(だだ)をこねるので、私はつい意味が分からないことを言ってしまった。



「寝ていようが起きていようが、新幹線に乗っている間は私が隣です!」



私の意味の分からない宣言に、時哉さんは何故か嬉しそうに笑った。

「そうだね、じゃあ、寝ようかな」

そのまま時哉さんは目を瞑ってしまう。



それから10分ほど経った後、私は横目で時哉さんの方を見ると、ちゃんと眠っていた。



また「実は起きていた」なんて言われたらどうしようかと思ったが、何故か今日はしっかり眠れているようだった。

よほど疲れていたのだろう。

よく見ると、目の下にクマが出来ているように感じる。

時哉さんのクマに気づいても、私に出来ることは何もなくて。

私はただ静かに漫画を読んで時間を過ごした。