「お前らなんでここにいるんだ…」

 澪くんが鬱陶しそうにみんなを見た。

「え~?そんな言い方なくない?生徒会長として、生徒の動向を把握してるのは当然でしょ?」

「そんなわけあるか」

「み、澪こそ、ちとせとふたりでなにしてたんだよ。今日は部活あるって言ってたけど、もしかしていつもふたりで…?」

「藤川先輩って、意外と抜け目ないっていうか、したたかだよね」

 みんながわーっと話し出すものだから、私はどうしたらいいのかわからなくてあわあわするばかりだった。

 すると澪くんが私を引き寄せた。

「うるさいな。ちとせはずっとお菓子作り部を探してたんだ。これからも俺とずっといっしょだから、お前たちの出る幕はない」

 澪くんにぴったりとくっついているせいか、なんだかやたらとドキドキしてしまって、私はうまくしゃべれなくなった。

「え~ちとせちゃんは、生徒会に来なよ。俺が優しく教えてあげるよ?」

「ちとせは俺が女の子を克服するまで手伝ってくれるって言っただろ?だったら、最後まで俺の面倒見て!」

「なにそれ。花宮先輩は僕を本気にさせたんだから、ちゃんと責任持って協力してよね!」

 3人からもぐいぐい詰め寄られて、私の脳内はもう大パニック。

「で、ちとせはどうするんだ?」

 澪くんに追い打ちをかけられて、私の頭はプシューと音を立てて煙を出したみたいに、なにも考えられなくなった。

「ありゃ、ちとせちゃん?」

「ちとせ!」

「花宮先輩!?」

「ちとせ、しっかりしろ」



 ただただ楽しくケーキが作れればそれでいいはずなのに、どうやらちょっと変わった男の子たちが、それを許してくれそうにありません。


 寮生活は賑やかで楽しいけれど、これからもドキドキな毎日は続きそうです。





 終わり