「やっと活動してるところに遭遇できたの!」
澪くんは少し困ったように視線を逸らした。
「澪くん?」
なんだか澪くんのようすが少しおかしい。
私はじっと澪くんの瞳を見つめた。
澪くんは観念したように口を開く。
「…そのケーキ、作ったの俺なんだけど…」
「ええっ!!じゃ、じゃあもしかして、お菓子作り部のひとりきりの部員って……」
「……俺だよ」
「そう、だったんだ…!」
ずっと探していたお菓子作り部の部員さんが、こんなに近くにいたなんて…!
「がっかりしたか…?」
澪くんは私のようすをうかがうように訊いてくる。
「そんなわけないよ!むしろすっごくうれしい!」
「え…?」
「澪くん、料理上手だもんね!ケーキも作れるんじゃないかなぁ、って実は思ってたから」
私の言葉に、澪くんはほっとしたように胸をなでおろした。
「そうか…」
「でもどうして教えてくれなかったの?私がお菓子作り部探してたの知ってたでしょ?」
「そうだけど…。言ったらぜったいケーキ作って作ってってうるさく言うだろ?」
「それは…言う!」
「だろ?ひとに食べさせるようなものじゃないから」
澪くんは言いながら机に置いてあるケーキを冷蔵庫に片付けようとする。
私は澪くんに飛びついた。
「ち、ちとせっ!?」
「食べさせてっ!」



