「うおらぁ!」

 乱暴なかけ声と共に、不良たちが襲いかかってくる。
 私は投げるタイプの小さなクナイを数人の聞き手に飛ばして、ナイフを使えないようにした。けれど、何本も携帯はできないから全員分はない。

 残った不良たちの攻撃も受け流すことしかできなくて……このままだとどっちの体力が持つかってところだ。

 もちろん体力で負ける気はしないけど、集中力も必要だからちょっとキツイ。

 そんなことを考えて弱気になっちゃったからかな?
 一人の攻撃を受け流したすぐ後。私が体勢を整えるよりも先に次の攻撃が来たとき、避けられないって思った。

「くっ!」
「あやめちゃん!」

 悲鳴のような一叶ちゃんの声の後、痛みを覚悟する。
 でも、その覚悟は不要なものだった。

 ガキィン!

 刃と刃のこすれる音がして、私の前で金の髪が揺れる。

 いつも私を守ってくれる、大好きな人。


 【閃光(せんこう)雷鳥(らいちょう)】という二つ名にピッタリの姿の透里が、そこにいた。