私は一叶ちゃんがいる方へとできるだけ近づいて、まずは状況把握に努めた。
「一叶……どうしてわかってくれないんだ? きみは辰見と婚約なんかしちゃダメだ」
まず聞こえてきたのは邑本先輩の声だった。
「みんな、きみと辰見は不釣り合いだって言ってる。いじめられたりもしたんだろう? 辰見と別れないと、ずっとこのままだ」
「それでも、私は……哩都がいいんです」
辰見くんと別れるように説得しようとしている邑本先輩に、一叶ちゃんは声を震わせながらもハッキリと断っている。
すると、邑本先輩は豹変したように声を荒げた。
「冗談だろ!? あんなにいじめられてたってのに! それに、そんなきみを辰見は助けてくれなかっただろう? あの鴇野とかいう女子に校舎裏へ呼び出されたときだって、水をかけてきみを助けたのだって俺だ!」
とつぜんの告白に私は少し驚いた。
さっき松田くんと話した様子を考えると、あのとき私に水をかけてきたのは別の人かも知れないと思い始めてたけれど……。
邑本先輩だったのね。
犯人が松田くんでないのなら、邑本先輩の可能性が大きいとは思っていたけれど、本人の口から聞くことになるとは思わなかった。
しかも、邑本先輩はそのまま自分がどれだけ一叶ちゃんを心配しているのかを主張しはじめる。
「一叶……どうしてわかってくれないんだ? きみは辰見と婚約なんかしちゃダメだ」
まず聞こえてきたのは邑本先輩の声だった。
「みんな、きみと辰見は不釣り合いだって言ってる。いじめられたりもしたんだろう? 辰見と別れないと、ずっとこのままだ」
「それでも、私は……哩都がいいんです」
辰見くんと別れるように説得しようとしている邑本先輩に、一叶ちゃんは声を震わせながらもハッキリと断っている。
すると、邑本先輩は豹変したように声を荒げた。
「冗談だろ!? あんなにいじめられてたってのに! それに、そんなきみを辰見は助けてくれなかっただろう? あの鴇野とかいう女子に校舎裏へ呼び出されたときだって、水をかけてきみを助けたのだって俺だ!」
とつぜんの告白に私は少し驚いた。
さっき松田くんと話した様子を考えると、あのとき私に水をかけてきたのは別の人かも知れないと思い始めてたけれど……。
邑本先輩だったのね。
犯人が松田くんでないのなら、邑本先輩の可能性が大きいとは思っていたけれど、本人の口から聞くことになるとは思わなかった。
しかも、邑本先輩はそのまま自分がどれだけ一叶ちゃんを心配しているのかを主張しはじめる。



