シークレット・ミッション~なりきり悪女の恋愛事情~

「一叶さんは、憧れなんだ。かわいくて、優しくて……彼女が笑顔でいてくれればそれでいい。辰見くんと一緒にいるときの津嶋さんは、すごくキラキラしてるから。だから、辰見くんと幸せになってくれるといいなって思ってる」

 すぐ近くにその辰見くんもいるからか、ちょっと言いづらそうに目をそらしながら話す松田くん。
 けれど、優しげに潤む目を見て私は確信した。

 松田くんは、純粋に一叶ちゃんに憧れているだけなんだって。

 その気持ちが伝わってきて、こんなときだっていうのに感動してしまった。
 思わず涙ぐむと、透里にこづかれてしまう。

「こら、泣いてる場合じゃないだろ」
「うっ……そうだね」

 気を取り直して涙を引っ込めると、私は松田くんを改めて見る。
 そして真剣な顔をして言った。

「事情は話せないけど、私は一叶ちゃんを助けたいの。松田くん、ついてくるなら私と透里の指示に従ってね」